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あんなことやこんなことをあなたに

『よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話』ネタバレ・感想/これは読むべき!2世信者による衝撃の告白漫画に色々と考えさせられる件

エッセイ漫画『よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話』の作品情報(試し読み)、あらすじネタバレあり)、感想を書いてみました。

よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話 (ヤングマガジンコミックス)

作品情報(試し読み)

twitter上に発表した8Pの告白漫画が、わずか2日間で3万RTを超える大反響を呼びヤングマガジンサード講談社にて連載開始。作者であるいしいさやの実体験を元にとある宗教の二世信者として育った少女の生活を描いた実録漫画。

あらすじ(ネタバレあり)

主人公・さやの母親は新興宗教を信仰していおり、さや自身はいわゆる二世信者。信仰の内容は、神・エホバの教え通りに規律正しく行動し、崩壊後の世界で復活し、楽園で暮らすこと。母親や周りの信者と共に長時間の宗教活動に参加し、厳しい監視の中、禁止だらけの生活を送っている。

その1 私のお母さん

さやは、お友達のまゆちゃんに家で遊ぶ誘いを受ける。お母さんに相談するといつもはダメだと言われるにも関わらず特別に許可をもらう。まゆちゃんのうちでは、普段飲むことのできないコーラに感激、いつも着ている地味な服とは違うかわいい服までもらい楽しい時間を過ごした。しかし、帰宅するとお母さんは「楽しくなかったでしょ?」と同調圧力をかけてきて…。

感想

 作者のいしいさやさんは、特定の宗教への批判ではないと断りを入れてこの漫画を書いています。そういうことを書かないといけないレベルで、宗教というのは批判の対象としては聖域化してるということでしょうか。あまり声を大にして言って良いことなのか分からないですけど、おこですよ。個人的には。

日本では、宗教的なものって実はありふれていてお寺や神社があちこちあるし、お守りを買ったり年始におみくじを買ったりと文化として根付いている側面があります。こういった家庭と決定的に違うのは信仰心や敬虔さ?みたいなものでしょうか。どっちみち馴染みのない価値観ばかりで違和感しかありませんでした。

宗教の自由があるというのは、学校で習うことですが、果たしてこの家庭環境に住む子供に自由はあるのかというのも疑問。自由ってあらゆる選択肢のなかから自分の意思で選べるってイメージですが、2世信者のこの子にはないですよね。

それに世界はもうすぐ滅びるというのも、人の恐怖心に漬け込んでいるようで胸糞が悪いです。それだけでなく災害の被災者を悪い人たちが受ける天罰だとしているところも納得行きません。かつては、天変地異が人智の測り知らぬものだったから、それを神の怒りとして宗教家たちが利用して、恐怖心を植え付け自分たちの教えに従えば救われるとしたのはある種の合理性があったのかもしれません。が、今になってそんなやり方するのは、客観的に見ると洗脳しているようにしか見えないというのが本音です。

昔はセフティーネットとして機能したり、人に倫理観を植え付けより良く生きるための指針になっていた感のある宗教ですが、現代には変わりになる社会福祉や教育があるし、果たして宗教が必要なのか大いに疑問です。

といった感じで、文句を言い始めたらきりがないのですが、私自身いわゆるミッション系の大学に通っており無関係で生きてきた訳ではないので、宗教全部を否定するつもりはさらさらないんです。というか、大学寮では礼拝の義務があって週2で参加していました。でも、その間一度も勧誘なんて受けたことなおんですよ。神様を信じなさいとも。まともな宗教ってそういうものなんじゃないかと個人的には思っています。自分には機会がありませんでしたが、人生に悩んでいた時にカウンセリング以外の選択肢として良き相談場所になるのがそういう宗教施設なのかもしれません。

正直こういったいわゆる信仰心が矯正されるものは、宗教の皮を被った集金システムなのかなと邪推したりします。信仰宗教の2世信者の人たちが直面している問題。難しいですが、外から人権的な観点からツッコミを入れられるようになったりしないものかなと思うところです。

 

『僕たちは元気です』ネタバレ・感想/“肉喰い”を突破して母のもとへ!ゾンビの世界を旅する兄妹サバイバルが面白い!

漫画『僕たちは元気です』の作品情報(試し読み)、あらすじネタバレあり)、感想を書いてみました。

僕たちは元気です(1) (講談社コミックス)

作品情報(試し読み)

11月13日にマガジンポケットにて連載がスタート。4月9日に講談社より単行本第1巻が発売される。作者・摺澤翔にとっては初の単行本刊行作品。近未来の日本を旅する兄妹の二人・裕貴と唯が、“肉喰い”と呼ばれる怪物が支配する世界でサバイバルする姿を描く。

サイト内で『僕たちは元気です』で検索したら出てきます

>>無料試し読みはこちら

あらすじ(ネタバレあり)

第1話  遠くのあなたに

2021年春、とある病院にて死亡したはずの患者が蘇り、人を喰らう怪物へと変貌する。“肉喰い”と呼ばれる彼らは捕食による感染によって急増。日本は地獄と化していた。なんとか生き延びている22歳の裕貴と14歳のの兄妹は、母に会うため、“肉喰い”と格闘しながら日本を旅している。

富山の田舎を移動中、二人は物資の確保の為にコンビニへよることに。そこは比較的安全で、二人はしりとりをして遊んだり、裕貴が唯に“肉食い”の倒し方を教えたりしながらこの世界での日常を楽しんでいた。しかし、唯がトイレに入ろうとするとそこには大量の“肉食い”が潜んでおり、一気に襲いかかってきた。

唯の機転によりなんとかピンチを脱出する。こんな悲惨な世界になっても唯は、いつも通り明るく元気だった。母のもとを離れて12年。もう会うことはないと思っていた母に会いたくなった二人は、東京を目指して旅を続ける・・・。

感想

ゾンビは漫画に限らず映画、海外ドラマと全部好きで見かけたびにチェックしています。昨今のゾンビ作品の多様化は、異常と言えるレベルですがコンテンツとして優秀なのかどんなジャンルでも大ハズレがなく楽しめるのが良いですよね。“肉食い”と呼ばれるゾンビは、ぽぽぽとおかしな音を発するのが特徴ですが、これが今後どういう意味を持ってくるのか気になるところです。

ストーリーとしては、離れ離れになった母に会いにいくという結構王道中の王道。ゾンビものでなくても泣かされるやつですね。ただ、ゾンビコンテンツにありがちなサスペンス感よりも、こんな悲惨な日常でも明るく元気な唯のキャラクターを全面に押し出してる印象があります。裕貴がコンビニでしりとりに付き合わされたりするのがまさにそれですね。このキャラクター重視というのは漫画ならではの重心の置き方で、感情移入しやすいです。今後も、兄がこの唯にやれやれしつつ旅を続けていくという感じなんでしょうか。

『君に愛されて痛かった』ネタバレ・感想/まんが王国で復活きたぜ!メンヘラJKの最底辺の恋愛が痛すぎる!

漫画『君に愛されて痛かった』の作品情報(試し読み)、あらすじネタバレあり)感想を書いてみました。

作品情報(試し読み)

『君に愛されて痛かった(知るかバカうどん)』は、2017年5月に『漫画アクション』(双葉社)にて連載を開始、11月に打ち切りが発表された漫画。その後、新潮社に移籍が決定。コミック配信サイト「まんが王国」で2018年4月13日より定期連載がはじまる。歪んだ愛に囚われたメンヘラJKが病んで暴走、最期には彼氏に殺されてしまうというストーリー。作者である知るかバカうどんさんはpixivで絵師として活躍し、R18コミックも経験している女性漫画家。絵柄だけでなくキャラクターの内面に及ぶ嗜虐的な描写が男性だけでなく女性にも刺さり人気がある。6月9日に『BUNCH COMICS』よりコミックス1巻を発売予定。

公開日よりサイト内で『君に愛されて痛かった』で検索したら出てきます

>>無料試し読みはこちら

あらすじ(ネタバレあり)

女子高生のかなえは、スクールカースト上位に属して学校生活を送っていた。そのため友達は、クラス内の陰キャラに対しての当たりが強く、席を返して欲しいと発言するだけで罵詈雑言を浴びせかける。中学生の頃に周りに馴染めずイジメられていた経験を持つかなえは、なんとか周りに合わせようと必死になっていた。「陰キャラに人権なんてないのにね」過去に、自分が傷つけられたセリフをグループの違う同級生に浴びせる。常に、周りの反応にビクビクしながら生活し合わせようとする自分に対していつも自己嫌悪に陥っていた。

そんなある日、周りに誘われ高校生同士の合コンに参加することになる。貴族の上流階級のような雰囲気の集まりに場慣れしているみんなを見て、かなえは余計に疎外感を持つ。なんとか馴染もうとするが、隣に座る男子は冷たくおどおどしているかなえの姿に嫌気が指しそっぽを向いてしまう。話相手が居なくなり、ジュースを持ってきてみんなの役にたとうとするが、昔のイジメられていた経験がフラッシュバックしその場にへたり込むかなえ。

しかし、その時合コンの中心であり王様の立場にいたが優しく声をかけてくれた。「上流階級なのに…」と感謝を伝える。寛自身は当たり前のことをしたつもりであったが、ジュースを持って部屋に帰ってきた時のかなえと寛へ向けた反応でその意味に気づく。

帰宅する振りをしたかなえであったが、ネットで知り合った援助交際目当てのおじさんとホテルへと向かう…。

感想

 現代のスクールカーストとその中で消耗する女子の心理をこれでもか誇張して描いている作品。テイストとしては青年向けなんだけど、少女漫画に出てくるようなドロドロとした人間関係の話です。周りの反応が怖くて無理に合わせて仲良くしようとするというのは、現実に悩んでる女の子がたくさんいるんじゃないでしょうか。本当の自分を表に出せず、常に抑圧されながら周りを傷つける立場に置くかなえのメンタルが病んでしまうというのは、非常に共感できる部分があります。そのヘラっぷりには、若干引いてしまう部分もありますが、同じ悩みを持つ人たちにとっては自分だけじゃないというある意味救い的な話になりそうです…が、そうはならないことが冒頭で描かれています。最終的には、彼氏に殺されてしまうんですよね(笑)

この恋人に殺されてしまうという事件。確か実際にありましたよね。打ち切りとなった経緯が出版社から説明されていないのですが、個人的にはその事件が関係しているのかなと邪推しているところです。フィクションと現実は、別物で創作とは無関係というのが基本の立場ですが、この点においては色々と物議を醸してしまうのは仕方ないかなとも思います。自分はネットニュースの連載再開でこの作品を知りましたが人気のある漫画だったんですよね。にも関わらず打ち切りというのは、のっぴきならない理由があったはずなので…。

とにもかくにも、前半のドロドロとした人間関係のなかでのかなえの葛藤は、女性に刺さる。後半の援助交際での行為と内面描写は男にとっても感心するものがあり、ネットを中心に人気が出るのもよく分かる漫画でした。まだ、1話しか読んでないので、次が気になるところです。

 

『メイト』ネタバレ・感想/幼馴染として過ごしてきた二人に訪れる変化とは?

漫画 『メイト』の作品情報(試し読み)、あらすじネタバレあり)、感想を書いてみました。

作品情報(試し読み)

罪の淵』や『同居』など大人気作品を多数掲載するRush!にてフルカラーで掲載中、作者はカメノアシ。15年間幼馴染として過ごしてきた男女の友情が変化していく様を描く。紙媒体での発売はまだないが、電子コミックとして常にランキング上位にランクインしている。

あらすじ

15年間、幼馴染として過ごしてきた未央公平。お酒を飲み過ぎた未央を介抱して家に泊めたり、とりとめのない愚痴を言い合うくらい仲の良い二人。同じ部屋にいても気を使わずいつでも気兼ねしないで一緒に過ごすことができる関係が、子供のころから長く続いていた。しかし、公平は密かに未央を大人の女性として見るようになっていく。

公平は、以前という女性と付き合っていた。しかし、酔っ払った同僚麻美との浮気現場を目撃され破局。その後悔からずっと禁欲生活を送るようになる。一方、未央は携帯の電源を切っていたというささいな理由で、同棲中の恋人から家を追い出されてしまう。行き場のない未央は、真夜中にも関わらず公平の家を訪れるのだが…。

感想

幼馴染だと思っていた二人が…というのは、ありがちなストーリーですがそれを踏みとどまろうとする公平の姿がリアルです。結局、こういう関係って男のほうは、ビシビシ意識してるパターンが多いんですよね。相手の未央が、素直な感じで憎めないタイプのキャラクターなのも感情移入しやすくて良いですね。

それになんと言っても絵がきれいで、一コマ一コマ丁寧に書いている印象。癖のない絵柄で万人受けするんじゃないでしょうか。『罪の淵』にしてもそうなんですけど、Rush!掲載作品って絵柄のハードルが高い雑誌なのかと思います。それに女性向けの浮気・不倫漫画によく見られる展開があったりして、必ずしも男向けというわけでもないように思えます。男友達の多い人は、こうならないようにと気をつけている人もいて共感できるかもしれません。

最終的には、子供の頃のような関係ではいられなくなった二人ですが、その描写だけでなくその後の二人や取り巻く関係も気になります。未央の彼女はどう考えても一筋縄ではいかないタイプの男だし、公平と不倫関係にあった麻美の小悪魔的なキャラクターも二人の関係を深刻化させる鍵となってくるでしょう。1話1話ちゃんと見どころを作って次を読みたくさせるところが憎い!

『彩子 白』ネタバレ・感想/最恐アプリ誕生の秘密が明らかに!

漫画『彩子 白』の作品情報(試し読み)、あらすじネタバレあり)、感想を書いてみました。

彩子 白 (少年チャンピオン・コミックスエクストラ)

作品情報(試し読み)

ハカイジュウ』の本田真吾による新作単行本。LINEマンガにて連載されていた。女子高生を凄惨な死へと導く恐怖のアプリ「SAiKO」が誕生するまでの物語。月刊少年チャンピオン秋田書店)で連載された『彩子 黒』との同時刊行。Renta!にて48時間400ptでレンタル実施中。

>>『彩子 白』の無料サンプル

あらすじ(ネタバレあり)

女子高生の彩子(アヤコ)は、人が嫌がるようなことも積極的に引き受ける真面目な性格の持ち主。誰も立候補しない学級委員という損な役回りにも名乗りを上げることで、生徒だけでなく担任の教師からも感心されていた。さらに彩子は、みんなから笑顔で「ありがとう」と言われることに嬉しさを感じる純真さも持ち合わせていた。周りには内緒にしているが、野球部のエースで4番の貴弘と付き合えているのも普段から真面目に過ごしているからだと信じている。

そんなある日、近所の猫が切断されツギハギに繋がれているのが発見される。貴弘を狙っている同級生のギャル・椎名は、その強気な性格から犯人と思われる人物を決めつけて問い詰める。その人物は、いつもグロ画像などをネットで見ているとして有名だった(いぬい)という生徒であった。乾は、一月前も学内で起きたニワトリの惨殺事件の際に疑われていたのだ。椎名が罵詈雑言を浴びせるも、乾は平然としており「心のきれいな人しか助けない」と意味深な言葉をつぶやく…。

翌日、登校すると椎名が友人と貴弘と1番お似合いなのは、自分だと話しているのを耳にする。どうやら、学校では秘密にしている貴弘との関係がバレてしまったらしい。不安を感じながら席につく彩子であったが、机の中から血で書かれた手紙が出てきて…。

感想

恐怖のアプリ誕生の前日譚を描いた漫画です。私は『彩子 黒』の方を先に読んでいたのですが、正解はどっちなんでしょうね。時系列的にはこちらの方が先なんですけど、はっきり言ってどちらからでも楽しめる内容です。猫がツギハギにされるという猟奇的な事件に巻き込まれていく感じのテイストで、陰から忍び寄る犯人が非常に不気味に描かれています。

本田真吾先生の画風は、相変わらずホラーを描くのにピッタリなタッチ。ツギハギの猫はもちろん、同級生で忌み嫌われている乾の描写も本能的に恐怖を感じさせられるテイストです。というか、『ハカイジュウ』ほキャラクターを思わせるかなり不気味な描き方をしていて苦手な人は読み進められなくなるかもしれません。

彩子の運命については、『彩子 黒』を読んで結末を知っているため、 心が苦しくなるものがありました。まあ、こういったホラーでは基本的に避けられない展開なんですけどね(笑)ただ、ギャルの椎名に関しては間違いなく凄惨なシーンが待っているのは間違い無い。この嫌味で強気なキャラをいかに殺すかというのもホラーが好きな人にとっては見所かもしれません。

『彩子 黒』ネタバレ・感想/グロくてヤバ過ぎな戦慄のSNSホラー!本田真吾先生の迫力満点な画力が今作でも健在!

漫画『彩子(サイコ)黒』の作品情報(試し読み)、あらすじネタバレあり)感想を書いてみました。

彩子 黒 (少年チャンピオン・コミックスエクストラ)

作品情報(試し読み)

ハカイジュウ』で大ヒットを飛ばした本田真吾による新作単行本。月刊少年チャンピオン秋田書店)で連載された。女子高生の間で流行しているというスマホ用アプリ「SAiKO(サイコー)」を軸としたホラー漫画。LINEマンガにて連載されたスピンオフ『彩子 白』も同時刊行。 Renta!にて48時間レンタル400ptにて販売中。

>>『彩子 黒』の無料サンプルを読む

あらすじ(ネタバレあり)

女子高生の間で大流行しているスマホ用アプリ「SAiKO(サイコー)」には、どんな質問にも女性型AI「彩子(サイコ)」がベストな答えを導き出してくれる機能があった。メイクの仕方から恋のアドバイスまで、ニーズに合わせてどんな情報も手に入れることができる。恋にまつわる情報に限らず、出会い系で金づる親父を探したり、万引きの為に監視カメラを止めたりとこの機能を悪用する女子高生まで現れるようになっていた。このように都合良くアプリを利用した人物は「さ、行こ」の声をきっかけに、凄惨な事故に巻き込まれ次々と死亡していく。落下した鉄パイプの下敷き、トラックにはねられる、焼死、アプリ使用者の間には、不可解な死が蔓延してた…。

女子高生の知世は、美人でスタイル抜群おまけに成績も優秀で学内では憧れの的。しかし、男子は苦手で自分を暴力から守ってくれた不良・成瀬にお礼すら言うことができずに悩んでいた。そんなある日、友人の花恋から聞いていた万能アプリ「SAiKO」が自分のスマホにインストールされていることに気付く。高性能AIに驚き思わず、悩みを打ち明けると「私が何とかしてあげる」と返答があった。

翌日、アプリを使いこなしている清水に放課後誘われることに。そこで、全国で起きている女子高生の変死には、「SAiKO」が関わっているはずだと打ち明けられる。清水は、その変死に至る呪いの条件を探ろうとしてたのだ。しかし、その話の途中にスカートがエスカレーターに巻き込まれてしまい…。

感想

 SNS人工知能を軸に展開するホラー漫画。本当に漫画は新しいものを取り込んでストーリーを作るのが早いなと。内容的には、B級ホラーの焼き増しなんだけど、定番のストーリーだからこそ鉄板に寒気がする漫画になってます。瞬発力があるので、一気に読んじゃうやつです。Jホラーの定番といえば、貞子ですけどそういったテイストを存分に取り込んでるので、好きな人は絶対に楽しめるかと思います。

貞子をはじめ、今までは呪いって怨念みたいな観念的なものでしか、描けなかった訳ですけどスマホアプリを通して描かれることでグッとリアル感が出ますね。メンタルが弱いとスマホ触れなくなる人もいるかもしれません。

最初のホラーシーンは、エスカレーターに巻き込まれるという誰もが一度は想像して恐怖した経験のあるものを持ってきています。これも、なかなかグロく凄惨で苦手な人はキツイだろうなという印象。というか、本田真吾先生の画力が凄まじ過ぎるんですよ(笑)。『ハカイジュウ』を読んだことがある人なら分かると思いますが、不気味なモンスターを描かせたら恐らく日本一なんじゃないかと思います。

スピンオフの『彩子 白』の方をまだ読んでいないのでそっちもこれから一気に読んでしまいたいと思います。本田先生も気に入った方は是非とオススメのようなので。

漫画『あなたがしてくれなくても』ネタバレ・感想/現代病とも言える夫婦関係の停滞に悩まされるOLがせつな過ぎる!結婚生活が崩壊するボーダーラインはどこにあるのか…

結婚生活に悩みはつきものですが、現代社会ではその悩みも単なる不和が原因ではない場合も多くなってきたように思います。本作で描かれている夫婦もまさにそんな関係に悩まされている当事者です。同じような悩みを抱えている夫婦や結婚を考えているカップルが予習かがてら触れてみるのも面白い漫画だと思いました。気になる方は是非チェックしてみてください。

作品情報(試し読み)

ハルノ晴が描く『あなたがしてくれなくても』は、漫画アクション双葉社)で連載中。結婚5年目で結婚生活がうまくいかず悩む32歳OL・吉野みちを主人公とする物語。

ハルノ晴は、大人気漫画『僕らは自分のことばかり』の作者。

あらすじ(ネタバレあり)

32歳のOLみちは同じ部署の女性社員の寿退社を素直に喜べなくなってしまうほど、結婚生活に悩まされていた。しかし、決して夫との関係が悪いわけではない。小さい喧嘩が多いとかであれば、かえって関係改善も容易だったのかもしれない。しかし、それとは違う現代病とも言える夫婦間の停滞…。

思い切って家族が増えることに賛成なのか聞くと「もちろん」と答える夫の。しかし、具体的な行動は一切とらず自分の趣味のゲームに没頭している姿にげんなりさせられてしまう。問題解決の為に、自分の思いをしっかり伝えるみちであったが、陽には色気がないと心無い言葉を浴びせられ突き放されてしまう。

その後、反省した夫は埋め合わせとしてケーキを買ってきて仕事が早く終わる水曜日に仲直りをしようと約束する。しっかりとオシャレをして送別会の二次会の誘いも断り、約束の日に家に向かうみち。しかし、同じ部署の既婚者である新名と共にタクシーで帰宅する途中、夫から帰宅が遅れることを告げられる。自分と夫とでは、今日という日にかける思いが全く違ったことを思い知らされるのであった。

そんな落ち込んでいる様子を察した新名から、お酒でも飲んで帰ろうと誘われる。そこで、気落ちてしまっているみちは、思わず自分が抱えている結婚生活の悩みを打ち明ける。すると、新名自身も同じ悩みを抱えていることが分かって…。

感想

もはや、現代の社会問題と言ってよいほどの複雑で困難な問題を描いた漫画です。この問題を女性視点で繊細な心理描写と共に描いています。最近、男視点で描いた『ただ離婚してないだけ』を読んだばかりだったので、女性視点から見るとこんな感じなんだなと新鮮でした。男性からすると仕事を頑張っているのだから家ではゆっくりしたい。夫婦関係に労力を割くのはエネルギーが必要で鬱陶しいというのはありそうで共感出来る部分ではあります。決して冷めきっているわけでもなく、こんな二人のような悩みに陥っている夫婦は実際かなり多いのかもしれません。

そんな中、出会う同じ悩みを持った新名との関係は、ある意味お互いにとって救いになるのか、それとも新しい問題を生み出してしまうのか気になるところです。単に問題解決を他の男性に求めるのではなく、あくまで本心は夫との関係改善を望んでいるもののそれは叶わない。行き場のない気持ちとどう向き合うべきなのかというところで、賛否両論ある話だろうなといった印象です。また、浮気や不倫は一体どこからなのかという永遠のテーマについても考えさせられる内容でした。