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映画『怒り』見てきたよ!きつい描写に胸糞。ただ豪華キャストの演技力とストーリー展開に大満足!途中からネタバレあります【感想・レビュー】

先日、豪華キャストで話題の映画『怒り』を公開初日に見てきました。

主要キャストは、渡辺謙(槙洋平)、森山未來(田中信吾)、松山ケンイチ田代哲也)、綾野剛(大西直人)、広瀬すず(小宮山泉)、宮崎あおい(槙愛子)、妻夫木聡(藤田優馬)となっています。それぞれが主役級ですよね。

かなり期待して見に行ったのですが、いざいつも行く映画館についてみると、劇場の中でもかなりスクリーンや客席の少ない場所での公開の模様。

キャストも実力派ぞろい、妻夫木くんと綾野剛の共演もある界隈では話題になっていて「期待値の高い作品なんだなぁ」と思ってたので、見る前からちょっと拍子抜けしてしまいました。笑)

現在、映画『君の名は』が大ヒットしてることもあるのかもですね。

ただ、見終わった時には劇場に見に来て本当に良かったと思える作品でした。周りからはすすり泣くような声も聞こえてましたね。

なお、名作と実感してはいますが、何回もみたいかと言われるとそれは、正直嫌です。見るたびに心がえぐられますし、精神的なダメージが大きいです。

「2度と見たくない名作」という表現をしてる方がいましたが、その通りだと思いました。

レビューサイトでも非常に評価が良いみたいです。今年一という声も多数でした。是非みなさんにも劇場に足を運んでもらいたいです。

 ※ここからは、映画本編のネタバレが含まれます。また、内容は批評や論評といった類のものではなく、感じたことをそのまま書き出しただけで寄せ集めのようなものです。友人と映画を見終わった後にあーだこーだ言い合う時のような軽い気持ちで読んでいただけると嬉しいです。

目次

見に来て良かったと言ったものの、耐え難い胸糞シーン満載。広瀬すずの演技は見てられないくらいリアル

 この映画はっきり言って見てられないようなシーンがたくさん出てきましたよね。

冒頭、宮崎あおい演じる槙愛子が歌舞伎町で男たちのおもちゃにされ廃人のようになってしまっているシーンからはじまりいきなり胸糞。

妻夫木聡演じる藤田優馬は、サディズム溢れる感じで一方的な性行為を押し付けて胸糞。

広瀬すずちゃん(小宮山泉)も理不尽に米兵に襲われて胸糞。その演技がリアルすぎて胸糞。なんか沖縄基地問題界隈の不必要な政治的なメッセージも含まれているような気がしてさらに胸糞。

胸糞アンド胸糞のオンパレードで見ている時の精神的な疲労がすごかったのはわたしだけではないんじゃないでしょうか?

「怒り」オリジナル・サウンドトラック

「怒り」オリジナル・サウンドトラック

 

 キャストがみんな攻めすぎ

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(C)2016 映画「怒り」製作委員会

わたし自身はいままで映画を見る時、キャストは全然気にせずに見てきました。むしろ「あっ、なんかこの俳優さん他の映画でも叫んでたな藤原竜也のこと)」とかよけいなことを考えてしまうことがあるので、「正直濃い役をやったことのある人をあまり他で見たくない」と思ったりしてます。笑

ただ、この映画に関してはどうしてもキャストに触れなければいけないくらいそれぞれ「ほんと攻めてるなぁ」という印象を受けました。

宮崎あおいちゃんってこんな頭の弱い子になりきれるんだとか、爽やかな印象の妻夫木くんがこんなドSになっちゃったよとか、広瀬すずちゃんの商業映画とは一線を画すかなりきわどいやられっぷりとかあげるとキリがないです。

森山未來も振り幅の大きい難しいキャラクターなのに見事に演じきっていましたよね。

この監督の前作品『悪人』で深津絵理さんが、なんか凄い女優賞をもらったらしいですが、なんかキャストの実力を引き出すようなそんな演出が得意な監督なんでしょうか。

みなさんは、どう思いましたか?

誰が犯人か?ではなく誰に犯人であって欲しくないか

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(C)2016 映画「怒り」製作委員会

普通こう言った犯人を明かさず進行していく作品では、「誰が犯人か?」を考えたりするものですが、途中からわたしは全然違うことを念じながら見ていました。

それは、愛子ちゃんと同棲をすることになった「田代くんだけは、犯人にするのだけはやめてくれ〜」ということです。笑)

これは、どのストーリーに感情移入するかで、見る人によって意見が分かれるところだと思います。

女性は、藤田優馬をなんとかしてあげてほしいと思った人が多いんじゃないでしょうか?直人がいなくなってからの憔悴っぷりはこっちが気の毒なくらいでしたし。

三つのストーリーが同時進行する中で、誰が犯人でもおかしくないようなシーンが出てきていたように思います。指名手配の写真もおそらく三人の顔を合成したものでしょう。

最初のうちは、「誰が犯人かなー。やっぱ現実の事件をモチーフにして無人島生活してる森山未來(田中信吾)かなー?」なんてミステリー気分で推理していました。

しかし、話が進むにつれてどうやらこの映画は、犯人を推理するとかそういう類の映画ではないらしいことに気づきます。

後半になると無垢な二人の関係だけは、うまくいってほしい。「二人のために犠牲になってくれ。すまん。」というわけのわからない願いを心の中で祈りながら見ていました。

男としてはやっぱ愛子ちゃんには、幸せになってほしいですもん。毎日、お弁当を作ってくれるかわいい女の子ですしね。

ちょっと頭が弱いところもなんでも男の言いなりになっちゃうところも、「田代くんとなら足りないところを補いあってうまくやっていけるはず。がんばれ!」と心の中で叫んでいたのは私だけではないと思いたい。笑)

しかし、それを読み取ってか意地悪なストーリー展開で犯人は、田代くんであることが発覚。

 

。。。

 

と思いきやまさかのバックパッカー青年、田中信吾が犯人でしたね。あの『怒り』の文字が出てくるまでの時間、地獄でした。

田中信吾には、申し訳ないですが、思わずホット胸をなでおろしました。それどころか、意地悪な劇的な演出にもありがとうと思えるくらいには感情移入していました。

三つのストーリーのうち二つは、もう一切の救いのない結末でガッツリと精神が削られるなかで、二人には少しの光が差し込んで物語が終わってくれて本当に良かったと思います。

正直、三つ共がバッドエンドだったら、そのまま席を立って帰れた自信がないです。笑)

まとめ

見終わった帰り道は、ヘトヘトに疲れきってしまいましたが、なんだか不思議な心地よい満足感がありました。なんだか、富士山に登った時なみのカロリー消費と経験をしたようでした。

見に行った時には、あまり予習しないでいったので原作があることを知りませんでした。

ただ、ここまで心を弄ばれた作品なので時間がある時に、原作小説も読んで見たいと思います。

これは、あくまで予想ですがこの物語を書くにあたって、原作者は構想の段階では、犯人を決めてなかったんじゃないかと思います。

「だって、誰が犯人でも十分納得できるんだもん。笑」

誰が犯人でもいいように話をつくっていって、本当に救いたいと思った愛着のある話を救う形で結末を書き下ろしたんじゃないでしょうか?深読みしすぎかな。。。

二時間の映画の中では描ききれてない部分もたくさんあると思うので、そういう部分も原作なら見れるかもしれませんね。

怒り(上) (中公文庫)

怒り(上) (中公文庫)

 

 

怒り(下) (中公文庫)

怒り(下) (中公文庫)