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漫画『自殺島』 16・17巻 感想 生きることの意味を見つけて堂々完結!そして、前日譚の『無法島』へ【ネタバレ】

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2008年に連載が始まった漫画『自殺島』が、ついに完結。16巻と完結17巻が10月28日に同時発売されましたね。

まだ、チェックしてない人は同時発売であるということをしっかり押さえておいてください。じつは、知らずに17巻を先にちょっと読んでから話が飛んでることに気づきました。笑

自殺島』は1巻から単行本を追いかけていて、たくさん漫画を読んでいる中でも特に大好きな作品になります。

終わってしまうと思うと非常に残念な気持ちと楽しみが一つ減ってしまう寂しさとで、なんだか複雑です。

ただ内容としては「人はなぜ生きていくのか?」という答えをを主人公であるセイを通して実感することができましたし、大切な人を守り抜く覚悟を明確に示して上手に物語を締めくくっていました。堂々の完結と言っていいのではないでしょうか。

作者の森垣二先生の漫画は、非常にメッセージ性が強いので説教くさいと敬遠するひともいますが、私自身はそれも含めてすごく好きな作品でした。

内容が過激なだけに映像化は難しいかもしれませんが、アニメでも映画でもいいから、またこの作品を絶対見たいです。

まだ、読んでいないという方は、是非単行本を手に入れてみてください!

このあとには、本編のネタバレが含まれます。また、内容は批評や論評といった類のものではなく、感じたことをそのまま書き出しただけで寄せ集めのようなものです。見に来ていただいた方には、友達に借りた漫画を返す時にあーだこーだ言いい合う時のような軽い気持ちで読んでいただけると嬉しいです。

16巻の感想

新しい命の誕生と女性への敬意

大して設備の整っていない環境でついに、ナオの子供が誕生しました。

癒し担当のナオ。モテナイ男にとっては、生きる希望にもなり得る存在感を私は感じて居ました。

頑張って俺の子を産んでくれ」と親衛隊と共に応援していたのは、私だけじゃないでしょう。笑

恐怖と痛みに耐えて出産する女性の姿というのは、作者と同じように畏敬の念を持たずにはいられません。

無痛分娩が医療によって実現しているものの、まだまだ出産というのは相当な覚悟が必要なものであることが伝わってきました。

今私たちが生きているのは16巻で描かれてたような苦しい出産を耐えてきた先祖たちのおかげです。

誰であってもこの命のバトンを自ら落としてはいけない。

当たり前のことではありますが、普通に生活していると実感できないし、忘れていってしまうことを思い出させてくれます。

人によってはきれい事かもしれないし、説教臭いと感じる人もたくさんいると思います。

けど、自殺島で生きてきたセイにとっては、それが答えでした。作者が言うように誰かの答えが、「あなた」の答えになるとは限りません。

実際、リョウは前向きになることがいまだでず最後のシーンでも悩み続けていました。内面と外面のギャップの大きいキャラでしたよね。

私自身はというと、非常に単純なので感情移入して読んでる時は、その通りだとも感じますし、普通の生活に戻ってしまうとすぐ忘れてしまう感じです。笑

子供を持つ父親でもなければ、そんな予定もないですからね。。。

ただ、自分が自殺島にいたら親衛隊の一人になっていたのは、間違いないように思います。

結婚するということ

セイとリブ。ぼうしとタエ。この自殺島で2組のカップルが結婚することとなりました。

私は、正直このテーマだけは真正面から見ることができませんでした。

というのも、自分はセイのようにたくましく成長することもぼうしのように才能を生かして周りの役に立つこともできない自覚があるからです。。。

男女比が11:10なら間違いなく溢れてしまう自信があります。笑

ただ、どんな社会にも結婚という制度があり、男女が助け合い生きています。結婚がない国って多分ないですよね。

どんなに多様化しても家族を持つというのが、人類の普遍的な幸せの形なんだと思います。

その幸せを守り抜く覚悟というのが、どのような行動に繋がるのかが次の17巻で描かれることになりました。

17巻の感想

カイとの決着

サイコパスでかつぼうしにコテンパンにやられた男こと、カイとの決着がこの漫画のラストとして描かれました。

最初から最後まで引っ掻き回す奴でしたね。

「お前最後まで、そのスタンスかよ」とちょっと呆れちゃいました。まあ、物語にするためには必要なんですけど。。。

リブを人質にとり、セイを仕留めることで自分の正しさを証明する。自分の正しさが証明できない限り、納得して死ぬことができない。

本当に傍迷惑なやつです。ある意味、サワダより全然やっかいでしたね。

ただ、私は「正直わからないことはないな」と思う部分もありました。

実社会でも最後に行き着いた自殺島でも適応できずに孤立していく絶望というのは、かなり苦しいものなんじゃないかと思います。

「あー、そんなこともあったかな」と同じような経験が自分にもあることを思い出してしまいました。

この島での生活を通して、周りの人間は喜びや悲しみを分かち合い変わっていきました。

そんな中で取り残されてしまえば、自分を肯定することが一切できず、破壊的な衝動が芽生えるというのは、人の性質としてはおかしくないものだと思います。

だからこそ社会は、多様性を認めつつ全ての人が社会参加して誰かの役に立てるような制度設計が必要です。誰かの役に立っていないと自分に価値があるなんて思えないですしね。

そうしないと必ずカイのような存在が現れてしまいます。実際、信じられないような凶悪犯罪は、そういった制度上の不具合によって生まれている部分があるように思います。

結果として、ややご都合主義的な側面はありましたが、セイによってここでは躊躇なく殺されました。

結婚をするというのは、相手のことを何よりも優先するということだと思います。

私自身、リブのようなハーフ系美少女が奥さんとしてそばに居たら同じことをしていたはずです。

法治国家では、当然人を殺すことは許されません。ただ、家族を何より優先するということは、同時に人を殺してでも守り抜くということだと思います。

多くの人がこのダブスタを抱えて生活しているんじゃないでしょうか。少なくともセイは、今まではできなかったけど最期にはそれを行動で示してこの物語を締めくくりました。良いか悪いかは別として。

まとめ

自殺島 コミック 1-15巻セット (ジェッツコミックス)

自殺島 コミック 1-15巻セット (ジェッツコミックス)

 

 みなさんはこの自殺島が、もともと『無法島』という死刑判決を受けた人達が島流しになっていた場所だったのを覚えているでしょうか?

この漫画が完結するにあたって、前日譚として『無法島』の連載が決まったそうです!

「いや〜、嬉しいですね。本当に!」

設定としては、実はこっちの方がリアル感があって話の展開もたくさんあるように思います。

実際ネットなんかでは凶悪犯罪者は、島流しにしてしまえなんて良く言いますよね。

私も、更正不可能な無法者には、「無法者の無法者による無法者のための社会で生きていくようにした方が、互いの為なのでは?」って思うことがあります。

間違いなく今作よりも過激な内容になると思いますが、非常に楽しみです。

この作者は、どの漫画でも一貫したテーマを投げかけてきますよね。

自殺島では、「生きるとは何か?」「どうしていきるのか?」ということでした。

果たして、無法島ではどんなテーマになるんでしょう。やっぱり、人が生きることの逆。「人が人を殺すとは?」ということでしょうか。