映画『ゲットアウト』感想 ネタバレ厳禁!まだ観てない人には結末を言っちゃうのは犯罪的なやつだぞ
さてー!
最近、怖いものにハマってる立川あつです。
この『ゲット・アウト(原題:Get Out)』予告から結構好きかもと思ってたやつです。どうも幽霊系のホラーが楽しめないたちなので、今作のような幽霊出ない系のホラー。気になってました!
ただ、監督はもちろん主演・キャストも含めて全く知らない人ばかりの作品なので、それこそお金をかけて見るのはホラー以上の危うさがあります。しかし、まぁそこまで含めてどうせなら楽しめるかなという感じの鑑賞でした。
つまらなかったら、それはそれでブログのネタにすればいいですしね。
映画『ゲット・アウト』★★★★4.0点。 これは世にも奇妙な物語の神回レベル https://t.co/zmgyYrcoR6 #Filmarks #映画 #ゲットアウト
— あつ (@0129_kracpot) 2017年10月29日
結果、個人的には断然好きなやつ。正直、アラサーのおじさんになってしまうと怖さってのはあまり感じなくなってしまっているってのが本当のところ。
「別に怖くねーし!」って厨二を気取ってる訳じゃないですよ(笑)シンプルに鈍感になってしまっているだけ。
ただ、この映画に関しては単純な怖さというよりも、気味の悪さというか違和感。その原因がなんなのかが分からない怖さ。終始、嫌な感じが結末まで続くと言った作りで、全然毛色の違うホラーでした。
なので、鈍感な私でも全然怖がれるやつ!
それだけじゃなくホラーなのにキャラの立ちすぎたステレオタイプな黒人男性がいるのにもクスッとさせられたり。
人種差別が根底にある話ですが、他人種どころか同じ人種とも接点の少ない私には「あまり実感のない文化の話だな」と、正直とっつきにくい面もありました。実際、『ドリーム』なんかは高い評価にも関わらず、自分の中ではいまいち刺さらなかったですしね。
まぁ、実感こそありませんが属性ありきで話をされることとかは、黒人に関わらずあるあるなので痛いほどよく分かります。
そういった文化の違いこそあれ私は、存分にこの世界観を楽しめました!
衝撃的な結末もそういうことかと膝を打つような納得のいくもので、とってつけたようなものではありません。
チープな言い方になっちゃいますけど、世にも奇妙な物語の神回って感じですかね(個人的には褒めてます)。好きな人には絶対おすすめ出来る映画ですよ!
感想(ネタバレあり)
乗っ取られるという恐怖!
ホラーでもスリラーでもいかに人が殺されるかを描くのがメインになりがちですけど、この映画では人が死ぬシーンは最後の最後しか出てきません。
クリスが訪れたアーミテージ家での「何かがおかしい」と感じさせられる出来事。管理人が全速力で走っていたり、自分を惚れ惚れと鏡で眺める使用人だったり。さらにかつての知り合いが全く別人のようになっている。
そこ黒人は全て、催眠と脳手術によって乗っ取られていたわけです。使用人はローズの祖母、管理人は祖父だったと。
この「乗っ取り」って『世にも奇妙な物語』では結構定番のやつですが、私は子供の頃に完全にトラウマを植えつけられたやつです(笑)おばけや幽霊なんかの100倍くらい怖いやつ。
死ぬよりも何か恐ろしいですよね。ちょっと話は違いますがドラゴンボールで悟空とギニューが入れ替わるのも怖かった。ギニューが一生カエルで生きて行かなくちゃいけないのも異常なまでに怖かった記憶があります。
しかも、この映画ではそれを「沈んだ」状態を保ちながら乗っ取られてしまうパターン。想像すらしたくないやつでしたね。
伏線があるから陳腐にならない
正直乗っ取られるっていう設定自体は、世にも奇妙な物語で使われるくらい定番のものですけど、その結末が明らかになるまでの伏線がしっかりしていたので変なB級感がありませんでした。
使用人のジョージナが「私たちを家族のように扱ってくれています(これは実際に黒人のどれが使用人として働いてた頃に言わされていたセリフだそう)」とクリスに説明していたのも、それが事実だったと。管理人も別に押し付けられている訳ではなく「嫌な仕事はないよ」と言うのも強靭な肉体を存分に使えるわけでその通りでした。夜中に完璧なフォームで全力失踪するくらいですからね(笑)さすが元陸上選手って感じです。
ひょっとしたら感の鋭い人はここで気づけた人もいたのかもしれません。
不意に涙を見せたり、鼻血をだして錯乱したりというのも「沈んだ」状態の本人が現れかけていたということですよね。
こういう伏線がミルフィーユのように積み重なっての結末なので450万ドルというアメリカでは低予算の映画ながら、全然陳腐な感じにはなっていませんでした。
これはやっちゃいそうというタイプの差別
あまり、身近な問題ではない人種差別。本来、私の実生活と重ねて観れるものはないかなと思っていたのですが、属性でくくってステレオタイプな評価をするのは身近にあるなぁと思いました。
この映画に出てくる白人は、映画『ドリーム』に出てきたようなあからさまな差別はあほとんどしていません(冒頭の身分証の件以外)。トイレを別にしたり、図書館が使えなかったりというような隔離政策的なものですね。
ただ、黒人というだけで強靭な肉体を持っているに違いないとベタベタ触られたり、なんなら下のモノもでかいんでしょうみたいな事を言われる。黒人だからという属性だけでタイガーウッズやオバマ大統領を持ち出してる。
別にディスってる訳じゃないけど、これはやられてる側からすると大変うざいやつ。「大阪の人はみんなノリが良くて面白いに違いない」っていうのもそういうの期待されたくないって言いますしね。
それが、差別による軋轢の大きい文化圏の人にやれば明確な自覚のない差別になるのでしょう。というか、テレビの外タレの人たちはしょっちゅうこういう扱いを受けているような気がします。
ちょっとこれは身近ではないと思っていた私のようなひとでも考えなきゃいけない問題なのかなと思わされる映画でした。