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映画『愚行録』感想/「日本は格差社会ではなく階級社会」だという言葉は自分を写す鏡であるだけかもしれない件

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妻夫木聡満島ひかりの共演で貫井徳郎によるミステリー小説を映画化した『愚行録』の感想/レビューになります。 羨望や嫉妬、駆け引きなど、誰もが日常的に積み重ねている「愚行」が複雑に絡み合っていく様を描いたミステリーを描く作品です。

2017年2月18日(土)公開 / 上映時間:120分 / 製作:2017年(日本) / 配給:ワーナー・ブラザース映画=オフィス北野

さてー!

愚か者の代表、立川あつです。

仕掛けられた3つの衝撃!という言葉に釣られて劇場に足を運んできました。

そういうことだったのかと思わず膝を打つような作品ってなんか良いですよね。

映画の一つの醍醐味ではないでしょうか。

さらに、今作では主役級の役者さんが多数出演する作品で、邦画が好きな方は特に注目していた方も多いと思います。

しかし、期待したり楽しみにしたりそういった類の作品ではありませんでした。

はっきり言って、嫌な気持ちになります。(笑)

なので、エンタメを求めて観に行くというのは避けた方が良さそうです。恋人同士や家族で観ても、お葬式の後のような雰囲気になって劇場を後にすることになります。

そういった意味で、閲覧注意の映画なので気をつけてください!

これから先、映画本編のネタバレが含まれます。また、内容は批評や論評ではなく、感じたことを書き出しただけのものです。友人と見終わった後に「あーだこーだ」言いい合う時のような軽い気持ちで読んでいもらえると嬉しいです。なお、コメント大歓迎なので気になったことがあれば、是非コメントを残して言ってください!

ハイライト

ある家族を襲った凄惨な殺害事件。その被害者である田向家は、エリートサラリーマンの父親に美しい母親、礼儀正しい娘、という誰もが羨む理想の家族であった。 それから1年、週刊誌の記者・田中(妻夫木聡)は、迷宮入りした事件の真相に迫ろうと改めて取材を開始する。一方で、田中自身にも妹が育児放棄による児童虐待の罪で捕まるという問題を抱えていた。

殺害された夫・ 田向浩樹 (小出恵介) の会社同僚の渡辺正人 (眞島秀和) 。妻・友希恵 (松本若菜) の大学同期であった宮村淳子 (臼田あさ美) 。その淳子の恋人であった尾形孝之 (中村倫也) 。 メモを片手に次々と関係者から証言を集める中で、理想的な夫婦の外見とはまったく違った実像が浮かび上がってくる。

田中は、その内容を新たに掲載すると記事を読んだ大学時代に浩樹と付き合っていた稲村恵美 (市川由衣) から、犯人を知っているという連絡を受ける。稲村から話を聞いた後、さらに宮村からも夏原に人生を壊された、つまり犯人の可能性がある人物を思い出したという連絡が届く。「その人のようになりたくない」と語る宮村の話を聞く田中。しかし、その手にはもう取材に必要なメモ帳は握られていなかった…。

ネタバレ感想

印象的な冒頭シーン

私は、冒頭のバスの中から始まるシーンがかなり印象に残っています。

おじさんにお年寄りに席を譲るよう促された田中は、バスの中で盛大に転び降りた後も足をひきづりながら歩く。それを見てバツの悪そうにするおじさんを乗せたバスが通り過ぎるのを確認すると、そこからは普通に歩きだす…。

なんという愚かな行為。はっきり言ってこんなの単なる当てつけですよ。

本来、お年寄りが近くにいたらすぐ降りるのでと言って席を譲れば良いじゃないですか。

田中の行為はまさに愚行と言って良いでしょう!

と盛大にディスってみたのですが、実は私自身、同じような妄想をしたことがあるとここで打ち明けたいと思います。(笑)

田中は、私です。

妄想をしている時は、特に愚かだと自覚はなかったのですが、こうやって客観的に見ると明らかに愚行ですね…。

言い訳ではありませんが、決して席を譲りたくない訳ではないんです。そもそも疲れて座ってたいと思う時以外、座らないですし。

ただ、何だか偉ぶって促してくる相手に対しての反発があるだけで…と言ってみても愚かであるこに変わりありませんね。

あっ、もちろん実際にやってる訳ではないですよ。今のところ、思い留まってはいます。(笑)

正直このシーンには、はっさせられました。

私だけでしょうか?私だけでしょうね。たぶん。

3度の衝撃よりも胸糞悪いが勝ってしまう件

この映画の公式ホームページや特集を読んでいると、3度の衝撃的なシーンがあると強調されています。

ただ、正直に言って衝撃的な事実よりも胸糞悪さの方が勝ってしまって、あまり驚くことはできませんでした。

去年だと「怒り」が胸糞!衝撃的な事実!ということで話題になりましたよね。こちらは、まだ若干の救いもありました。

しかし、今作ではそういった救いはなく、暗い雰囲気からひたすら暗闇に落ちていく感じがします。

ただただ、胸が苦しくなってしまいました。

観ている時はあまり意識出来なかったんですが、衝撃的な事実とは一体どれだったんでしょうか。

  • 田中が、宮村を殺してしまう
  • 妹の光子が真犯人であったこと
  • 光子の子供の父親は、兄であったこと

振り返ってみるとこの3点でしょうか。おそらくそうですよね。

しかし、伏線とそこに至るまでの助走のような展開があるので、やっぱりそこまで衝撃的という感じではありませんでした。

何より、真相が明らかになるに連れて、嫌な気持ちも加速していきそっちの方がどうしようもなく心を支配してしまいます。

イヤミスなんて言葉が最近流行り出していますが、正にそれ!閲覧要注意です。

人にはオススメ出来ない作品です。

他人は自分を写す鏡

自己啓発書に良くでてくる印象の「他人は自分を写す鏡」という言葉。

正に、この言葉を形にしたよう映画だったように思います。

田所も夏原も周りをモノのように利用する人格的には、褒められない人物です。

田所の同僚・渡辺はあんな良い奴がと涙をこぼす訳ですが、それは女を利用することを悪いと思わない人格の持ち主だからこそ、そう思えたということになります。

客観的にみたら、両方ただのクズですよね。(笑)

宮村から見た夏原もかなり偏った見方が反映されています。「日本は、格差社会じゃなくて階級社会だ」という言葉からは、自分がそのように周りを見ているということが反映されています。

劇中では、大学内の人たちをお金持ちの内部生とそれ以外に分けて、内部生とつるんでいる夏原を嫉妬しています。一方、光子は羨望の対象だったようです。

この違いに関しては、自己肯定感というかプライドに関係してきているようでした。プライドが高い宮村は嫉妬し、虐待の経験から自分に自信を持てない光子は羨望することになるということでしょう。

外から見ると、「金持ちやスクールカーストなんて意識しないで自分の好きなようにやれば良いのに」と思っちゃいますよね。

とかっこつけてはみても「気持ちは分からなくはないか」と思うところもあります。誰だって輝いて見える人たちと仲良くしたいでしょうしね。

まあ、階級とまで言い切っちゃうのはかなり偏ってますけど。。。

映画を観た人と語りたい気になったポイント

稲村恵美の子供の親は一体誰なのか

赤ちゃんを連れて取材を受ける稲村ですが、最後の方に「似てきたでしょ?」と田中に尋ねて切り替わる意味深なシーンがありましたよね?

これは、普通に考えると田向との間にできた子供だということを示唆したということで良いんでしょうか。

愚行録の話のテイストから言っても、2番目の恋人という話の流れからしてもそうだと思うのですが、だとしたらより一層胸糞が悪い話になりますよね。

あなたの「あるある」な愚行は?

「愚行あるあるを曲にのせて歌っても良いですか?」というのは、この映画の雰囲気に合っていないので辞めておきます。笑

愚行の経験がないという人は、おそらく世の中に存在していないですよね。私自身、妄想ではありますが冒頭のシーンと全く同じことを考えたことがありました。

この映画では、そんな現実世界では絶対人には言えない愚かな行いを客観的に描いているように感じました。

ひょっとしたらみなさんも「こんな人周りにいる」あるいは「自分自身思い当たるところがある」なんて愚行があったんじゃないでしょうか?

もし、あればそれがどんな行いか、ここだけの話教えて欲しいです!ってこれもひょっとして愚行でしょうか?笑

なんで妹は育児放棄をしたのか?

最後に、妹・光子の子供の父親が兄であることを示唆してこの映画は、幕を閉じました。最後まで一貫して胸糞悪いですね。

近親相姦に関しては賛否あって当然ですが、傷ついて心の拠り所のない光子が唯一信用している兄を頼るというのは、責められないことのようにも思います。

ただ、それが兄の子供だったとして光子が育児放棄をする理由はなんだったのでしょうか?

その原因となる確信が、この映画の中では描かれていなかったような気がしています。

みなさんは、わかりましたか?原作を見ればわかるのか、単純に私が見逃していたのかわかりませんが、その点が気になりました。

※映画をどう見たかは人それぞれの解釈があると思います。みなさんの意見を聞かせていただけるとありがたいです!

まとめ

監督を務めている石川慶氏は、海外の映画学校を出ている方だそうです。その割に、王道の邦画サスペンスらしい作品だったように思います。

光子の不幸を描くときの手が出てくるところなんかは、いかにもな日本ホラーっぽかったり。

ひたすら胸糞悪い映画というのは、日本だと「告白」や「怒り」もそうですし、海外だと「ファニーゲーム」や「メメント」など一定数あり、ひとつのジャンルとして確立されているのかもしれません。

ただ、いつ、誰と見るのかに関しては、かなり慎重になる必要がありそうです。

間違いなく、家族向けや恋人同士で観るタイプの映画ではないと断言しておきます。

愚行録の原作小説をチェック!

私は、まだ原作を読んでいないですが、映像化不可能と言われるようなインタビュー形式で書かれている小説になっているようです。

映画と小説というのは一緒にできないものです。実際、今回の映画化にあたって削らなければいけなかった内容、描写もかなりあるでしょう。

私自身、光子が育児放棄する理由を掴みきれませんでしたしね。そういった内容も原作を読めば見えてくるかもしれません。

気になる方は是非チェックしてみてください!