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映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』感想と語りたいポイント!/童貞を殺すなずなと愉快な仲間たち

2017年8月18日公開の『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』の感想/レビューを書いています。1993年に人気を博したTVドラマシリーズ『If もしも』で放送された岩井俊二監督の作品をアニメ化した映画です。

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(C)2017「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」製作委員会

さてー!

打ち明け花火はそもそも見に行かない派の立川あつです!

こちらの映画ですが、原作のテレビドラマがありがたい賞を貰ってるとかで、公開前から結構話題になっていましたよね。CMでも頻繁に見かけたし、いろんな雑誌で特集が組まれていました。

しかも、このタイトル!

なんだか哲学入っててめちゃくちゃ印象的です。

一応予習をしてみると公開前から、ネットユーザーには結構辛口で色々言われてるみたいです。

www.buzzfeed.com

云々とまあたくさんあります。

監督や脚本、声優として参加するキャスト、制作会社、主題歌のアーティストどこも評価の高い売れっ子が参加してる作品なので期待感が高いが故ってことでしょうかね。

まぁ、そうしときましょう(笑)

ただ、流石に観ないで面白くないに違いないと勝手に評価するのは良くないので是非、劇場に足を運んでみるのがいいかもです。

私はswitchという雑誌でこの映画を予習したんですけど、広瀬すずがなずな役となって映画を再現するグラビアが収録されてます。コレが非常にいい!アニメじゃなくて実写でみたいと思える出来です。もちろんクソほどかわいい!(笑)

広瀬すずが好きな人はマストで見るべきなので是非!

これから先、映画本編のネタバレが含まれます。また、内容は批評の類ではなく思ったことをそのまま書き出しています。映画鑑賞後に友達とあーだこーだ言い合うような軽い気持ちで読んでもらえると嬉しいです。後半に語りたいポイントも用意していますので、思うところがある人はコメント欄よりメッセージを残して頂ければ返信しますね。

感想(ネタバレあり)

あれ?結局どっちなんだっけ?

さてさて

ん?

結局打ち上げ花火は丸いってことでいいんですよね(笑)正直、そこすら曖昧なレベルで花火を見ていない私。お恥ずかしい。

けど、なんか平べったい花火も見たことあるようなないような…

そんな素朴な疑問からこの話が作られていったってのは深読みでしょうか。

でしょうね。はい。

という感じで見終わってもふわっとした理解しかしてないんですけど、ストーリーもぶっちゃけフワッとした解釈しかできなかった気がします。

ストーリー紹介を見る感じでは、同じ時を繰り返すループものかと思い気やちょっと嗜好が違う感じでしたよね。

クライマックスで電車が分岐するシーンがありましたが、繰り返すというよりも色んなあり得た未来を追体験するみたいなことだったんでしょうか?

自分の中の理解では、あのガラス細工には単に悔が残る過去に戻るだけではなく、世界を自分の望んだ通りに作り変える力があったということでいいんですよね。

だからこそ、自分にとって曖昧だった花火に関しては、作り変えるたびに平べったかったり水彩画のようなおかしな形になっていってしまったと。

だんだん現実とはかけ離れた世界になってないはずの電車の分岐点ができたり、最終的には歪みが見える世界にまで変形したと。

そんなところでしょうか。

説明的な描写がないので少なくとも自分はそんな感じの理解をしました。

ストーリーをそう解釈するとして、これを楽しめたかというとノーと言わざるをえない・・・。

見てる間は

「当時は画期的だったんだろうなぁ」「ループもののようでそうじゃないアレンジが確かに新かも」

と感心しながら観ていたりもしましたが、そのくらいですね。

ただ、酷評に値するかと言うと自分はそこまで酷いものだとは思いませんでした。

童貞心がくすぐられる

ストーリーについては、あまり心動かされる内容ではありませんでしたが扱ってるテーマは結構好きでした。

恋愛に目覚める前の女の子に対する好奇心っていうんですかね。もう完全に忘れられたというか、棚の上の方に押しやられて触れることのできなくなってるものをつつかれるようなそんな気分になるシーンが沢山ありました。

童貞心をくすぐられるってやつ。童貞心ってなんだ(笑)

一番はなんといってもキャラクター設定ですね。なずなが必要以上に大人っぽく描かれるのに対して、男子陣は必要以上に子供っぽく描かれていました。今っぽく言うと童貞を殺すなずなといった感じでしょうか

なずなは何事にも達観してるのに対して、男子は直ぐ何かをかけて勝負したがったり。花火の形について言い争ったりっていうタイトルに繋がる部分もそうですね。意味なくうんこがでてきたり、おっぱいに過剰反応をするのもそう。

あのくらいの子供って、精神的な成熟で最も男女が離れるような気がします。もちろん女子が先んじていく立ち位置で。

そんな時期の先に大人になってしまった女子への憧れっていうのがかなり印象的に描かれていてなんか良かったです。昔の何かを思い出しそうなノスタルジックな気持ちになりました。と言っても、個人の経験としてそういうことがあるかというと全くないですけどね(笑)

女子に目覚めたて男子の願望羨望、はたまた妄想に位置するものを堂々と描いてることを考えるとかなりの意欲作と言えるかもしれません(笑)

ただはっきり言い切れるのは女性には全く伝わらない届かない作品ですね。仕切りを隔てての脱衣シーンとか男女で完全に評価が別れるところだと思います。

心地よい音楽でMV風に

今作のプロデューサーが君の名はも担当していた人だそうで、それが映画でも反映それているように思いました。

後半に入る挿入歌の部分なんかはまさにそれで、MVを見てるような感じでしたね。映像の中でしっかり音楽を挿入して印象的に見せるというのは

「これからのアニメ作品の定番になっていくのかな」

と思わされるシーンでした。

実際、挿入歌とエンディング曲は凄くキャッチーでずっと聞いてたい感じでしたよね。

「音楽が入るシーンの没入感ヤバかったな」

というのがこの映画で一番伝えたい感想です。

挿入歌、主題歌になってるエンディング曲共にDAOKOさんという方が歌ってるそう。この方は知らないんですけど、ニコ生出身らしいので若者界隈では人気なんでしょうか。

ただ、米津玄師さんは最近至るところで曲を聴く機会があります。映画では確か『何者』の主題歌にも関わっていたはずです。この人も多分若者界隈で人気のアーティストなんだと思いますが、アラサー世代の私が聞いても全然違和感ないというかむしろかなり好きです。

『アイネクライネ』や『looser』などyoutubeにてフルで聴けるので音楽が印象に残ってる人は是非聞いてみてください。

勿論、今作の劇場挿入歌のCDも出てるみたいなんで余韻を楽しみたい人にはオススメです!

映画を見終わった人と語りたいポイント

ラストなぜ典道は欠席していたのか?

このラストの夏休み終わり典道が授業を欠席していた演出にはどういう意味があったんでしょうね。原作では何か描かれてるのかな。

友達と観に行った人はこの余白系の演出をあーだこーだと話あったんじゃないですか?みんななんて言ってました?

個人的にはなずなとリア充よろしく引越し先まで押しかけて遊び惚けてるのかなと思いました。馬鹿野郎。

というのはラスト、水中から花火を見る2人が色々あり得た可能性の欠片を覗き込む。キス出来ていたかも知れない欠片を見て、今それを実行するという演出がありました。

これはつまり、「あり得たことを可能性にしないで実際にやるんだ」的なメッセージですよね。それを夏休みが終わっても夢中で取り組んでる。そういうことなんじゃないでしょうかと私は思いました。

メイン声優の菅田将暉広瀬すずはどうでした?

ぶっちゃけ広瀬すずの棒読み感がかなり気になりました(笑)特にトンボが止まるとこの件は

広瀬すずってこんなに演技下手だっけ」

と耳を疑いたくなるレベル。去年の怒りの演技を観てる身からすると「本当どうしちゃったの?」って感じです。やっぱり、声優さんはプロに任せるのが良いんでしょうかね。

ただ、菅田将暉に関しては特に違和感はなかったです。むしろ中学生役なのに良く頑張れたなという印象。悪くなかったんじゃないでしょうか。

なずなは、なぜ典道に好きって言わなかったのか?

凄く気になったんですけど、オリジナルでは典道が50mに負けて祐介が誘われました。その時の理由としては、「好きだから」と言われるのに、典道が勝ったパターンではそれが言われませんでしたよね。

これってつまりですよ。未来を自分が望む可能性に改変できることを踏まえると実はなずなが本当に好きなのは祐介ってことになりませんか?

それを典道がIFの不思議な力で捻じ曲げて、自分が誘われるように改変したということになります。

実際、典道は一度も好きだとは言われてないですよね。しかも、砕けちった欠片の中には祐介がお祭りでなずなとデートしている可能性もあったことが描かれています。

なずなが本当は祐介が好き説!あると思います!

円形校舎の意味は?

舞台となってる学校があり得ない形をしていたのはどういうことなんでしょう。

円形校舎ってかなり珍しいですよね。しかも、円形校舎が2つ繋がる形で位置しています。おっぱい的な感じですね。

花火が丸いか平べったいかが問題になってるだけあって、そこと関係ありそうですが繫がりを見いだすには情報が足りない気もします。

円形刑務所パノプティコンの如く生徒を最も合理的に監視しやすいとかそんなことも思い付きましたが、そんな意味はさすがに考え過ぎですよね。

なんだったんだろ?分かる人がいたら教えてくださいな。

まとめ

評価サイトやSNSを覗いて見る限りでは、なかなかの酷評酷評の嵐ですね。ただ、自分はやはりそこまで酷い評価にはなりません。

これから色んなレビューが出てくる中で再評価されるんじゃないかなと思います。

ただ、楽しめない人がどういう層かというのははっきりしてるのかな。例えば、女性には不必要な性的表現が多いですよね。あと、青春的な要素がありつつもノスタルジーを刺激してくる要素もありで対象を絞り切れなかった感はあるのかもしれません。

なおこの映画の原作ドラマに関しては賞を取っているだけあって多くの業界関係者にもファンが多い素晴らしい作品のようです。

Twitterで流れてきたのですが現在U-NEXTでドラマ版が視聴できるそう。映画でがっかりだった人はこっちを観るのもありかもです。ちなみにこちらについても見終わったらレビュー予定。

☟ドラマ版『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』を観たい方はこちら

この映画は結構余白の多い作品なのは間違いないと思います。メディアミックスもされていて、ノベライズやコミックも公開に合わせて発売されています。こういう作品は余白部分を補完するのにも役立ちますし、余韻を楽しむことも出来ると思います。

私はノベライズ版をポチりました。情報量が多いですしコミック版は完結してないみたいなので。