映画『キセキ ーあの日のソビトー』感想/GReeeeNの映画は曲と一緒で前向きになれるぞ!
1月28日に公開されたキセキ ーあの日のソビトーの感想をまとめています。今年の劇場鑑賞10作目の映画になります!
さてー!
思いっきりGReeeeNを聞いていた世代の立川あつです。
最近は音楽自体あまり聞かなくなってしまいましたが、当時は自分も学生でかなりヘビロテして聞いていたグループです。
その中でもキセキは、人気ドラマとのタイアップもあったりで街中いたるところで流れていましたよね。
そんな思い入れのある曲の誕生秘話が描かれるということで、これは観ないわけにはいかないってことで公開初日に劇場に足を運んできました!
ややティーンが多かったですが、夢をめぐる親子の対立もテーマになっているせいか幅広い世代の人が観に来ていたようです。
実際、内容的には親に音楽活動を認めて貰うまでのキセキを軸に話が進んで行くので、GReeeeNを知らない世代の人でも十分楽しめる映画になっていました。
ファンだけでなく、ある程度成長して大人になっている親子で観に行っても良いと思います。
是非気になる人は、劇場に足を運んで観てください!
【作品情報】
- メンバーが歯科医師で顔出しを一切しないという異色のボーカルグループ「GReeeeN」の代表曲「キセキ」の誕生秘話
- 松坂桃李と菅田将暉のダブル主演で描く青春ドラマ
- 「そして父になる」「海街diary」など是枝裕和監督作で助監督を務める兼重淳がメガホンをとった
※これから先、映画本編のネタバレが含まれます。また、内容は批評や論評ではなく、感じたことをそのまま書き出しただけのものです。友人と見終わった後に「あーだこーだ」言いい合う時のような軽い気持ちで読んでいもらえると嬉しいです。なお、コメント大歓迎なので気になったことがあれば、是非コメントを残して言ってください!
ハイライト
ミュージシャンのジン(松坂桃李)は厳しい父親の反対を押し切り家を飛び出す。自分とは反対に父親の思いを受け、歯科医を目指していた弟のヒデ(菅田将暉)の音楽的才能を知る。
自分の夢であったミュージシャンを弟ヒデとその友人に託すことを決め、プロデュースすることを決意する。
歯科医と音楽活動どちらも諦められずにいた彼らは思考の末、顔を出さずにミュージシャンを行うことを決めるがー。
ネタバレ感想
実話を元にしてるのにちゃんと映画になってる!
正直、音楽グループの実話を元にしている話なので、あまり期待せずに観ていました。
多分、この映画もファンに向けたプロモーションも込めた作品だろうなと。
実際、その意味も当然あるかと思いますが、思った以上に誰でも楽しめ映画になっていましたよね。
夢を追いかける子供と親の対立。
音楽で挫折する兄と音楽をひたすら楽しんでチャンスを掴んでいく弟。
家族映画としても、青春映画としても観ることの出来る作品でした。
そして、1人1人の個性が立っていたところも良かったですよね。
小林薫演じるHIDE、JINの父親なんかは、絵に描いたようような頑固オヤジっぷりでした。
厳格過ぎて子供の人生に必要以上に介入するのなんかも、こんな人物実在するのかってレベル。
日本刀まで持ち出すような父親なら、パンクをやってるようなJINでと萎縮してしまうのも分かります。笑
JINは、そんな父親と完全に対立する存在。なんとか音楽活動を仕事として認めて貰いたいが為にバンド仲間から見放され挫折してしまう。
そして、HIDEはそんな父親の言うことがほとんど法律のようになっています。親の期待に応えることを大切にしつつ、どうしようもなく楽しい音楽にのめり込んでいくという葛藤を抱えてしまうという悩める青年。
そして、そんなギスギスした家庭のまさしく潤滑油のような明るく優しさに溢れた母親。
それぞれがストーリーの中でいるべくしている存在でした。
正直、父親厳しすぎと思うところが大きいのですが、だからこそラストに応援する立場になった時、カタルシスを感じました。
挫折に葛藤、家族間の不和の解消と映画に必要なイベントをしっかりこなしてくれているので、安心して楽しめる作品でした。
知っている曲が流れた時のドキドキがすごい!
今作では、劇中で声、道、キセキの3曲が流れたのですが、私が知っているのは道とキセキの2曲でした。
どんな映画でも、音楽は流れますがこの作品は自伝的な作品なのでこの音楽がしっかり主役になっていたのが良かったですね。
私は、GReeeeNの曲はどれもシンプルで前向きなメッセージが込められているのが好きでした。
ただ、この映画を観て感じたのは単に歌を聞いているんではなくて、歌っている人まで観ているということです。
どこのどんな人が歌っているのか、どんな思いが込められているのかその背景が分かっていると、知っている曲でもこんなに聞こえ方が違ってくるんだなと。
映画を観終わって改めて、聞いてみたくなりました。
壮大な人生実験を歩んだGReeeeN
二兎追うものは一兎も得ずと言うことわざがあるように、夢と現実的な選択肢は二者択一しなければいけないというのが常識ですよね。
しかも、彼らが選んだ職業は歯科医師という非常に公共性の高い職業です。
まず、スタートラインにつく時点で難しいしお金もかかる、大学での勉強に加え国家試験までクリアしなければいけません。
相当の時間とエネルギーを傾ける必要があるので、そこにさらにプロとしての音楽活動なんていうのは普通ではありえない選択です。
劇中にも出てきていましたが、顔をメディアにだしてしまうと歯科医師となった時に普通に患者さんを前に仕事こなすということができなくなってしまう現実的な問題もあります。
音楽活動の方もメディア露出なしでも活動となると、プロモーション的にデメリットの方が大きいでしょう。
しかし、GReeeeNはしっかりとその両方をこなして10周年を迎えています。歯科医師とプロアーティストの両立が可能だったことを壮大な人生実験を見事に示してくれました。
これには、歯科医師とアーティストを両立するということ以上の大きな意味があると私は思いました。
というのも、普通プロのアーティストになりたいなんていう憧れを持つ高校生は、進路として学業の道からドロップアウトしてしまう人が多かったりしますよね。
ただ、この映画では…実際にあった話ですが、プロの音楽活動一本に絞っていたJINではなく、しっかりと未来を見据えて学業の道を選んだ上で音楽を楽しんでいた 弟のHIDEがアーティストとしては成功することになりました。
JINが言っていたように、音楽活動というのはどれだけ犠牲を払って頑張ったかとかそういったこととは、別の次元で動いているようです。
努力は報われるという言葉が正しいのであれば、本来成功すべきは兄の方なんですよね。
ただ、現実はそれとは違う結果となります。
プロデュース側として成功していることを考えると決して音楽の才能がないわけでは絶対にありません。
それでも、うまくいくとは限らない音楽業界の不条理があることを実際にあったエピソードして描いていることは、これから音楽を生業にしていきたいと考えている多くの学生の参考になるんじゃないかと私は思います。
学校の先生や親なんかも安易に学業の道を捨ててしまおうとしている子供に対して、この映画を進めたら考え方を変えるかもしれませんね。笑
日常を切り取ったような小ネタも面白い
実話をもとにしているせいか、この映画ではわざとらしいギャグ的な要素があまりありませんでした。
その代わり、学生の日常や家族関係のありがちな関係性を切り取ったクスッと笑えるシーンがふんだんに盛り込まれていましたよね。
JINとHIDEのラーメンシーンなんてかなり笑えました。
かなりシリアスなやりとりをしていたため、食べ損ねているラーメンを弟に指摘されてしまう兄。思わず答えてしまった食べないよという言葉になぜか無意味に固執して流れるおかしな雰囲気。
男兄弟のいる人なら、あるあるな訳のわからないことに何故か固執して頑固になってしまうやつ。笑
自分も3人男兄弟なので、かなりツボってしまいました。
さらに、レコーディングのためにJINの家に集まる際に、必要のないクッションを買ってきてしまうSHOも個人的にかなりはまりました。笑
そのシーンもいかにも学生のありがちな日常を切り取っているようで、じわじわくるものがあるんですよね。
思いっきり笑わせにかかってるんじゃなくて、くだらなさを切り取ることで思わず笑ってしまう感じの演出がかなりお気に入りです。笑
まとめ
もっともっとメンバーを中心とした話かと思っていたので、ちょっとそこはあれって感じでしたがそれでもGReeeeNをさらに好きになるには十分な映画でした。
もちろん、映画なのでお父さんお母さんの濃すぎるキャラクターとかリアリティに欠ける部分もあるんですが、それでもこれが実際にあったことなんだと思うとなんだが不思議な気持ちになります。
GReeeeNの歌のようにこの映画も見た後に清々しさがあって、頑張ろうと前向きになれたのは私だけではないと思います。
また昔のように聞きたくなって、劇場公開に合わせて発売されているCDをポチってしまいました。笑
どうやら、劇中のグリーンボーイズのCDもでているみたいなのでそっちもチェックですね。
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関連書籍
映画は2時間という限られた中でストーリーになっているので、もの足りない部分を感じている人もいるんじゃないでしょうか?
そういう方に向けてということではないと思うんですが、実は『それってキセキ』という小説版も発売されているようです。
映画の原作ということではないので、東日本大震災の際に歯科医師として検死にあたったときのエピソードなども描かれているそうです。
作者の方は、もともとドキュメンタリーを書かれている方だそうなので、かなり実話に近い形での小説として読むことができそうです。
実は、私はこの映画を観終わった後すぐにブックオフにいったらこの本があったので勢いでかっちゃいました。ブックオフの割に全然安くはなっていなかったんですが。笑
映画だけでは満足できなかった方は是非こちらもチェックしてみてください!