ネタバレ感想『海賊とよばれた男』はカロリー不足の現代人にぴったりな熱量の高い映画だった!
熱い!熱すぎるぞ!国岡鐵三、そしてその仲間たち!
12月10日に映画『海賊と呼ばれた男』が全国公開されました。小説からコミカライズ、そして今回映画となって登場した待望の話題作です。
岡田准一が主演で、20代からの人生全てを一人で演じきるとうことで、楽しみにしていた人も多いんじゃないでしょうか?
私は、原作未読なのですが予告で見てずっと気になっていた作品なので、公開初日に観賞してきました。
内容としては、戦前から戦後にかけての激動の日本で、常に前を向き続けた国岡鐵造の熱過ぎる生き様を見事に描ききった密度の濃い映画になっていました。
どんなに逆境でも信念を貫き、反骨精神で大手外国資本と渡り合う。
従業員を家族同然に扱って、厳しい状況でも決して見捨てない。
働く男であれば、誰でも付いていきたくなる男の中の漢の生きかたに胸が熱くなりました。
この記事では、そんな気持ちを少しでも共有できるような感想をお届けしたいと思います。
【作品情報】
2013年度の本屋大賞第1位となった百田尚樹のベストセラー小説を映画化した作品。
同じ原作者の「永遠の0」の岡田准一主演×山崎貴監督が再びタッグを組む。
吉岡秀隆、染谷将太、綾瀬はるか、堤真一といった豪華キャストが脇を固める大作。
※これから先、映画本編のネタバレが含まれます。また、内容は批評や論評ではなく、感じたことを書き出しただけのものです。友人と見終わった後に「あーだこーだ」言いい合う時のような軽い気持ちで読んでいもらえると嬉しいです。なお、コメント大歓迎なので気になったことがあれば、是非コメントを残して言ってください!
ネタバレ感想
国岡鐵造という男の中の漢
この映画は、実在した出光の創業者をモデルにした作品になっています。
もちろんフィクションや脚色はあると思いますが、本当にこんな人物がいたのかという豪傑ぷっりでしたよね。
冒頭で、「日本人がいるかぎり、この国は必ず再び立ち上がる」と訓示したことを、終始自らが先頭にたって実行して見せてくれました。
そして、その気概は若い頃から一貫していました。
協定があればそれをかいくぐるために、海にで直接出て行き油を売る。部下を引き連れ自ら大陸に赴き現場の声を聞いて、本当に必要なものを開発する。
その型破りの発想と人を惹きつける行動力は、まさに日本の理想とする経営者のあり方でもあるかもしれません。
今の時代なら一歩間違えれば、ブラック企業経営者でもあるかも…。
社員(劇中では店員)たちが、ついて行きたくなる気持ちもわかります。自分もその時代その場所に生きていたら、めちゃくちゃ感化されていると思います。
とは言いつつ、冷めた目で見ると正直好きになれない性質の人だなと、感じる部分もありました。笑
感情の起伏が激しい、気性が荒い。合理性よりも反骨精神、人間力。
私には、持っていないものを行動原理にして動いているからでしょうね。笑)
「熱い!熱すぎるぞ!国岡鐵造!」
たぶん現代人には、熱量が凄すぎて距離をとりたいと思う人も結構いるんじゃないでしょうか?
ただ、間違いなくそれこそが彼を突き動かす原動力で、それこそ石油、ガゾリンのようなものだったんだと思います。
諸々の既得権益、石油配給統制会社(石統)、そして石油メジャー、彼が相手にするのはどれも途方もなく大きな組織です。
長いものには巻かれる。不満があっても戦わない。現代的な価値観に染まってしまっている私には、眩しすぎる存在です。
それでも、この映画を見ると明日を生きるための活力みたいなものを分けてもらった気持ちで、劇場を後にすることができました。
日々の生活で磨耗していて、カロリー不足だな思っている人には是非見てもらいたい作品です。
27から95歳まで全部岡田くん!
たくさんの実力派俳優さんが、そろい踏みの中で岡田くんの存在感ハンパなかったですよね。
この映画に出てくる27歳からの姿を全て一人で演じきっていました。
特殊メイク事情に詳しいわけではありませんが、どの年齢を演じている時もシワや肌質など全然作り物感がなくてびっくりしました。
亡くなる直前のシーンなんかは、岡田准一推しのファンの人たちなんかは「ショックを受けたんじゃないか」と変な心配までしてしまう程の出来です。
調べて見ると、やっぱりハリウッドから特殊メイクの専門家を招いていたそうです。そういえば、『ベンジャミンバトン』とかのブラピもなかなかの老けっぷりを披露していましたもんね。
これからは、年齢あまり関係なく演技する時代が来るのかも。そんな未来を感じさせてくれる配役でした。
ただ、やっぱり実年齢の俳優さんと比較すると、どうしても若さは残っていたというのも本音です。
岡田くんが単純に年齢を超えたイケメン感があるというのもあるかもしれません。
それでも実年齢をとは、かけ離れた難しい役をきっちり演じきいる姿には、脱帽でした。
エネルギーを巡る戦いは、今もどこかで続いている
私は、恥ずかしながら石油に対して、国家の血液だと言えるほどの重要性を認識していませんでした。
といっても、少なくともどこかで聞いてはいることで、戦争の原因の一つだったりということも知識しとしては知っていました。
ただ、実感としては皆無です。都内住みで車すら持っていないので、ガソリン代すら気にすることはありません。
さまざま代替エネルギーが出てきているものの、まだまだ主役は石油です。
自分たちの生活を支えるエネルギーに関して過去にこんな闘いがあったということを詳しく知らなかったのは、恥ずかしいばかりです。
劇中でも登場した日章丸事件。もっとも盛り上がったシーンですね。
命をかけて戦った石油男たちがいたことを忘れちゃいけないし、何よりも知っておきたいと思いました。
戦争起きていなくても、利害対立がなくなるわけではありません。いまだに、石油を巡る駆け引きが行われているのが実情のようです。
出光に関しても買収だか合併だかの話があったと思うのですが、記憶が定かじゃなし。。。勉強せねば。
「いやいや!もっと知りたいんだけど…」という部分多し
原作小説は、総ページ数700を超える大作のためどうしても描ききれない部分が結構あったように思います。
例えば、テロップによる説明シーンなんかは、それを正直に白状していましたよね、
「これ以後、大陸に販路を拡大し大企業へと成長する」とか「イランとの貿易は、CIAの謀略で1956年に終了する」とか。
めっちゃ気になる。そこらへんの経緯を描いてくれないの?と頭の上にクエスチョンマークが飛び出てしまった人は、私だけじゃないと思います。
なので、原作を読んでいる人からすると重要な部分を端折ったなと感じるだろうし、私のような未読の人には気になったまま置き去りにされた感じがします。
「ん?これって、気になる人は原作小説読んでね!」っていうことをいっているんでしょうね。笑
たしか、400万部とか売れている小説じゃなかったでしたっけ?まだ、売りたいんかい!と突っ込みたくなります。とは、いうものの買うんだろうな。私の場合。笑
まあ、確かに700ページにも及ぶ内容を2時間の映画にっていうのは、無理があるのは間違いないんです。
大幅に改変されるということは、映画になる時点で絶対です。
気になることを、小説あるいは現在連載中のコミックで振り返ることを前提としているのであれば、ある程度整理された構成になっていたんじゃないでしょうか?
士魂商才。
こんなところにまで発揮しやがってというのは、深読みのし過ぎでしょうか?笑
私の場合、気軽に読めるコミックをまず読んでみたいと思います。
※今ならじっくり無料試し読みのできる作品になっていました。気になる方は、チェックしてみてください。
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まとめ
一人の成功者の伝記的な映画として見ると、非常に元気の貰える作品である一方懸案事項もあるような気がしています。
それは、上司がプロジェクトXを見た翌日、そのやり方に感化されて実際に自分の会社でも取り入れようとして、てんやわんやみたいなことが起きるかもということです。笑
途中で少し書きましたが、この人物は戦前、戦中、戦後の混乱期を生きてきた人です。
その時代には通用したとしても、現代にそぐうかと言われるとうなづくことはできないかもしれません。
一歩毎違えれば、ブラック企業ノミネートです。笑
日本全国の上司のみなさん!
これは、あくまで激動の時代を生きてきた成功者のストーリーです。今の時代には、今の時代にあったやり方があります。
くれぐれも勘違いしないようにお願いいたします。って、考えすぎかな。笑