『我らコンタクティ(森田るい)』ネタバレ感想/ロケット飛ばす話なのにゆる過ぎ熱量足りな過ぎやで!
『我らコンタクティ』の作品情報、あらすじ、ネタバレ、感想を書いてみました。
作品情報
マンガ大賞2018ノミネート作品。森田るいによって描かれる『我らコンタクティ』は、冴えないOLのカナエと1人でロケット開発をしているかずきを描く物語で、月刊アフタヌーン(講談社)にて連載されていた。
あらすじ
自己評価は高いが周りから見ると冴えないただのOLカナエは、歩道橋の上で小学校時代の同級生かずきと再会する。話を聞くとかずきは、たった1人でロケット開発を行いそれを宇宙へと打ち上げるらしい。実際に燃焼試験を見せてもらったカナエは、この計画に乗っかれば会社を辞めて大金が手に入るのではと思いたつ。お金に無頓着でどこか抜けた感じのかずきなら、十分付け入るスキがあると感じたのだ。
そして、実際飲み屋で知り合った会社社長にスポンサーになってもらえるようかけ合うことにする。ロケット開発は男の夢であり、2000万円程度のお金が引き出せるはずだと皮算用したのだ。社長を呼び出しロケットに社名を入れて飛ばすことを条件に交渉するカナエ。まんざらでもない様子の社長に手応えを感じるところまできた。
しかし、かずきはロケットを飛ばす目的として思いもよらないことを語りだす…。
サイト内で『我らコンタクティ』で検索したら出てきます
ネタバレ
ロケットを飛ばし続ける為の電力の確保の課題に悩む二人
行きつけのお店にあったテラリウムを利用した発電を思いつく
そこの店主であるりほとかずきの兄は男女の関係にあるが、かずきの兄は既婚者であった
毎回お金を置いていくことに不満のりほは、お金を燃やすことで心のバランスをとっていた
ついには、ロケット開発中の工場を燃やそうとするも、かずきの打点の高いドロップキックが炸裂する
カナエは、工場では快活なかずきの兄がなぜ弟には当たりが強いのか疑問に思う
どうやら全く違う生き方をする弟に対してうらやましい気持ちがあるらしい
一方、映写機もロケットも完成に近づくなかで、実際に飛ばす為の課題も明らかになってくる
そんな中、りほこに冷たく当たられた腹いせにロケットを傷つけ兄
それを見つけたかずきはそこでも打点の高いドロップキックをお見舞いする
島をレンタルしなんとか打ち上げに漕ぎ着ける二人
打ち上げにあたって警察と教授が打ち上げに問題がないか調査にくる
安全上打ち上げは許可できないが、目的を木星探査に変更し一緒にロケット開発をするのであれば飛ばすことを許可できることになる
しかし、目的を変更したくないかずきとカナエは警察の監視を潜り抜け、泳いで島を目指す
感想
こんな熱量少なめのロケット漫画があるんですね。宇宙やロケット打ち上げを扱う映画や漫画は腐るほどありますが、これほどまでに登場人物たちの熱量の感じられない作品は始めてです(良い意味で)。第一話を読む限りでは、打ち上げに至るとは到底思えませんでした。いや、思えないでしょ、普通。かずきは、何を考えてるのか分からないような感情の起伏がほとんどないし。パートナーとなるカナエは、金の匂いを嗅ぎ付けた自意識過剰のOLだし。動機もなかなか理解のし難い、宇宙人に映画を見せたいというもの。共感は一切出来ません(笑)
それでも、たんたんと目的に向けてロケットを作り上げていくかずきの姿には、心を動かされるものがありました。自分のロケットを傷つけようとする人に対しては、女性だろうと兄だろうと関係なく打点の高いドロップキックをブチかます。感情の起伏はあまりないもののこの行動だけで、どれだけ当人の思いが本気かどうかは伝わってきます。
クライマックスには、とにかく打ち上げちまえと完全に味方になって読んでしまっていました。ある意味1本の映画を観ているかのうな緊張感とカタルシスがあります。のほほんとしてるから、墜落して死人が出ることなんて考えてないんじゃないかとハラハラさせられる部分もありました。けど、ちゃんと犠牲は出ないよう考慮してリスクを最小限にすることを怠ってなかったのも、キャラクターではありますが好印象。
絵についてはなんだかのっぺりとした感じで、好き嫌いあると思います。ただ、個人的には最近あまり絵の上手さやかっこよさは気にならなくなってきたので、問題はありませんでした。
マンガ大賞にノミネートされるのも分かるなという作品。絵についてはなんだかのっぺりとした感じで、好き嫌いあると思います。ただ、個人的には最近あまり絵の上手さやかっこよさは気にならなくなってきたので、問題はありませんでした。みんなに読んでもらいたい1冊。