伊藤潤二が描くホラー版『人間失格』のネタバレ感想 ワザ…ワザ…怖すぎ!太宰治ファンもホラー漫画好きも必見!
✔ホラー漫画の巨匠・伊藤潤二が太宰治の『人間失格』をオリジナルの視点から漫画化
✔作品情報、あらすじ、無料試し読み出来るサイトをまとめています
✔感想を核心的なネタバレは避けつつ紹介!
さてー!
今日は11月1日ということで、映画の日。エウレカセブンハイエボリューションを4DXで観てきました。そして、漫画サイトを覗いていたらあっという間に日がくれていました。まぁ、芸術の秋ってことで良しとしましょう。
読んだのも太宰治の人間失格をもとにした作品ですしね。純文学を読んでるのと結果は一緒ですよ。たぶん・・・
ということで今日は、伊藤潤二『人間失格』を紹介していきたいと思います!
【人間失格 1 (ビッグコミックス)/伊藤 潤二】人間失格相変わらずクセが強い。ただ、ホラーとの相性も良しだ。内容忘れかけてたから漫画で復習しとく。 → https://t.co/y6R7Zt5jou #bookmeter
— あつ (@0129_kracpot) 2017年11月1日
作品情報
作品概要
幼い頃から人間関係に恐怖して不器用に生きてきた男の人生を描いた言わずと知れた名作文学。内容を知らない人はいないですよね。
映画化だけでなく何度となくリメイクされてる作品です。
今回は、人気ホラーシリーズ『富江』で知られるホラー漫画家の伊藤潤二がオリジナルのテイストで漫画化リメイクしています。
作者
原作
出版社
あらすじ
隣人の幸福が理解できない。なのに、隣人の目が気になって仕方ない。そんな主人公・大葉葉蔵が必死で身につけたのが道化だった。上京した葉蔵は堀木に誘われ、非合法活動に参加する。
活動に疲れた葉蔵はある女給と出会うが……
無料試し読み
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ネタバレ感想
共感出来るかはやっぱり感性次第
「人間関係が上手く行かない」「周りとの距離感が分からない」
そういったいわゆる不器用な生き方をしている人たちから絶大な支持を集めている原作小説。
今作でもその生き方がたっぷりと描かれている訳ですが、正直私は相変わらず共感できないです。いや、不器用に生きているというところは全くもって自分のことなんですけどね。
ただ、道化を演じて人気者になれたり女にモテるところが全然違うし、おまけに頭まで良いとなるとどうも親近感がわかないんですよ!というか、なんだかイライラする(笑)
あんたのスペックならほっておいても、良い方向に転んで行くんじゃないの?と突き放して読んでしまいます。それにやっぱりどこかナルシズムみたいなものも感じてしまうんですよ。
そこが、自分の感性とはちょっとずれる。
オリジナルの解釈があるので読み直す価値あり
冒頭は女と心中するシーンから始まります。原作では確か警察が葉蔵の過去の写真だか手記を発見するところからでしたよね。
今作ではいきなりオリジナルの解釈が登場します。冒頭では心中の回想から。女と共に川に身を投げる際、草を掴んで落ちまいとする行動を描いています。原作にはない表現ですよね。
葉蔵が心中を試みて女も納得し覚悟している。しかし、葉蔵は優柔不断さが出たのかあるいは怖気ずいたのか逃げようとしていると考えていいのかと思います。この点については、当の著者の自伝的小説であることを考えると事実なんじゃないかと私は、思います。確か、太宰治って心中に何回か失敗していましたもんね。
「失敗というより逃げ出そうとしたんじゃないか」というのは学生時代にこの作品を読まされと時も感じていたことでした。都合良く男の方だけ助かるのは、単純に逃げ出せる力があるからかなと。そこをはっきりと描いているのが、新たに読み直す分にも新鮮さがありました。
ホラーとの相性は間違いなく良いぞ!
「人こそが怖い」
この点に関しては120%同意するところです。そして、周りの人に合わせようと必死になるのもそうですね。痛いほど良く分かります。
葉蔵の場合は、周りから面白い存在であることを求められているのを感じとり、道化を演じています。しかし、それを愚鈍であると見下していた相手に見抜かれてしまうシーン!
「わざ…わざ…」
これってやっぱりホラーですよ。その恐怖を単に自分が怖いということだけでなく、見抜かれた相手のビジュアルにまで反映させるというのが漫画にしか出来ない演出。
みすぼらしい身なりにほとんど妖怪のような容姿。というか作品が違いえば完全に妖怪や化け物の類に変身するやつです!これは子供の頃に見たら夢に出るパターン。ガチでヤバいです。
苦手な人には閲覧注意なので気を付けてくださいね。
太宰治が好きでもホラーが苦手って言う人は読まないほうが良いかもですね。
最後に
やっぱり何度もリメイクされている作品には訳がありますね。シンプルに素材として面白い!周りと上手く折り合いが付けられないで、不器用に生きるしかない男の生き様。
そして、それをホラーテイストを組み込んで蘇らせる。 読む価値ありです。私は、本編の内容を忘れつつあるので復讐の意味合いも兼ねて読んでみました。
おすすめ!