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ネタバレ感想『アズミハルコは行方不明』は名作映画だと感じはじめている件

映画-感想

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(C)2016「アズミ・ハルコは行方不明」製作委員会

蒼井優主演の映画『アズミ・ハルコは行方不明』が12月4日に全国公開されました。

私は、気になっていたものの近くに公開している劇場がなく、やや遅れての鑑賞になってしまいました。劇場公開直後に見るというポリシーが…。笑

蒼井優ちゃんの久しぶりの主演ということで、公開を楽しみにしていた人も多いんじゃないでしょうか。

私も、なんだか不思議な魅力のある女優さんなので大好きです!

内容はというと牧歌的な地方のイメージを覆されるリアルな田舎の姿が生々しく伝わってくる映画でした。ただ、映像の世界観にはアートっぽさがあってダサくないという不思議な感じ。

決して、地方との格差がどうこう女性の権利がという社会問題を提起しているわけではないと思います。

ただ、伝わってくる殺伐とした空気感は見ていて息苦しいものがありました。

都会育ちの人にはこれも同じ日本なんだという新鮮さ、田舎の人にはあるある!と大いに頷ける。

いわゆる見る人によって解釈や受け取り方が全然違ってくる作品です。

しかも、「余白」も多くてそこを埋める作業は、かなりの部分を観客に委ねる形になっています。

このレビューでは、そんな余白をちょっとずつ埋める感じでお話ししていきたいと思います。

ちょっと、長くなってしまったので、気になるところを目次で見てご覧ください。

【作品情報】

2013年に発表された山内マリコの『アズミ・ハルコは行方不明』を映画化した作品。

我らがブスカワ代表蒼井優ちゃんは『百万円と苦虫女』(08)以来の主演。

そして、朝ドラ『とと姉ちゃん』でまさに“国民的女優”となった高畑充希が共演しています。

監督は『アフロ田中』でデビューし『ワンダフルワールドエンド』『私たちのハァハァ』などを手がけている松居大悟が勤めています。

これから先、映画本編のネタバレが含まれます。また、内容は批評や論評ではなく、感じたことを書き出しただけのものです。友人と見終わった後に「あーだこーだ」言いい合う時のような軽い気持ちで読んでいもらえると嬉しいです。なお、コメント大歓迎なので気になったことがあれば、是非コメントを残して言ってください!

ネタバレ感想

分からない部分はなかったよ!

レビューなんかを見ていると時間軸がバラバラで、分からないシーンがあると言われていました。

確かに、置いていかれそうになることはありましたが、後から考えてみると一つ一つのシーンに対して疑問が残ることはなかったです。

そして、見終わった後振り返ると色々繋がっていって、評価が上がっていくのを感じる不思議な作品になっていました。私のなかでは、名作映画の条件の一つです。

ということで、まずよくあった疑問に答えていきたいと思います。

時間軸のバラバラさに戸惑う

多くのレビューで見られる時間軸バラバラ問題。私もご多分にもれず結構戸惑いました。

後から、振り返って初めてつながるところもたくさんあります。

ただ、戸惑うということはあまり問題ない作品なのかなと肯定的に捉えています。

この映画では、最後までアズミハルコが失踪した理由とその後どうなったのかを追いかけて見るというのが観客の立場でした。

行った来たりするエピソードの中にそのヒントが散りばめられています。

人によってそのヒントをキャッチできたり、できなかったりしたはずです。

また、キャッチできても共感できずにこぼれ落ちていくパターンもあったかもしれません。

後からジグソーパズルのように組み合わせていく楽しさのある映画ですが、そんな作業したくないという人もいるでしょう。

だからこそ、レビューなんかでも賛否両論結構分かれていました。

そこは、「見る人がそれぞれ違う意見を持つような作品にしたい」という監督の意図の通りという意味では上手くいたのではないかと思います。

ただ、もういっかい見ないと分からないという人もいたので、そういう意味ではやり過ぎだったのかもしれませんね。

JK集団はなんだったの?

これについては、いろいろ解釈の分かれるところだと思います。

ただ、田舎の閉塞感、そしてそこのクズ男たちをぶちのめしてやりたいという女性の思いを具現化させる存在として描かれていたのは、間違いないと思います。

愛奈、ハルコ、そしてハルコの同僚。それぞれの生き方は全然違いますが、結局行き着く先は田舎の壁とクズ男たちに潰されてしまう未来です。

「全部ぶち壊してほしい。」そんな気持ちが生き霊となって、暴れまわっているのがJK暴行集団だったと私は、感じました。

実際、ラストシーン。どう見てもJKじゃない女性たちがたくさん写っていましたよね。笑

JK=女性の破壊衝動みたいな感じでしょうか。

この田舎の町に住んでいる女性は、男に対する破壊衝動みたいなものを抱えているようです。

ただ、実際にブチのめすパワーなんてないので、ハルコ自身誘われてもついていくことはありませんでした。

だからこそ、JKがモチーフになっていたのかもしれません。なんか、JKには「無敵感」ありますしね。そう思うのは私だけでしょうか。笑

正直、都市伝説に近い存在なんだけど、なにからも自由な小説だからこそ、実在するものとして原作者は描きたかったんだと思います。

グラフィティが出てきた意味は?

私は、グラフィティという言葉自体、この映画を見るまで知りませんでした。

正直、おしゃれな落書きくらいの印象しかなく、背景や歴史なども一切知りません。

ただ、反社会的なメッセージを伝える有効な手段として使われていたのは、理解できました。

そもそも落書き自体が、反社会的な行為ですしね。

つまらない田舎をぶっ壊してやれというメッセージが、ここにも込められているのを私は感じました。

アズミハルコが選ばれたのは、田舎に起きた非日常であり実際に田舎から解放された人物の象徴だったからではないでしょうか。

町の人たちは、知らないうちにサブリミナル効果のようにメッセージを受け取ることになるわけですね。

ひょっとしたらこのメッセージは映画のなかだけでなく、現実世界にも届くことになる…かもしませんね。笑

少なくとも田舎住みで同じような環境で生きている人には、特別な意味を持ったメッセージになるじゃないかと思います。

ハルコの友達の重要性について

これは、どこを見ても書かれてなかったけど、私は重要だと思った点です。

結婚式で再会したハルコの友達。そして、ノリでキャバ嬢をやっていた頃の愛奈の先輩でもあります。

彼女は、唯一といっていいほどこの田舎のなかでは洗練された存在でした。綺麗だし田舎くさい嫌なところが一つも描かれていませんでしたよね。

そんな最上位の女性でさここでは、二軍の野球選手と結婚してすぐ別れるような未来しかないということを描いていたんじゃないでしょうか?

「この田舎では、どんなに頑張っても女性の未来はないんだ」ということを一番最初に伝えてくれていたんですよね。しかも、海に行くということもこの時点で二人の会話のなかにでききていました。

このシーンで、すでに映画の目的地は示されていたわけです。

さらっと出てきた割に、かなり重要な存在だったと私は思います。

アズミハルコの行方不明の原因とその後の生き方にカタルシスを感じましたか?

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(C)2016「アズミ・ハルコは行方不明」製作委員会

この映画では、一貫して田舎の息苦しさと女性が虐げられている現実が描いていました。

そこで生きる女性の閉塞感を代弁するかのようなメッセージが確かに伝わってきましたよね。少なくとも私には、ビンビン感じ取れました。

その閉塞感はどんなシーンで感じられるのか。一応、そのシーンをいくつか振り返ってみたいと思います。

家では認知症のおばあちゃんの介護に神経をすり減らす母親、そして存在が空気の父親

「家族でもっと協力しあったら」とも思いますが、変えられないのが日常ですよね。

そして、日用品を買いにいくことですら、車を使わなければいけない環境。

この、車移動というのがものすごく印象的に描かれていたように思います。本来なら、男性が颯爽と女性をエスコートするというのが私たちが見る映画やドラマのシーンです。

違和感を感じるほど多様されていました。いかに私たちが普段見ているものが、都会中心に作られているかを思い知らされます。

しかも、外に出てみれば、どこにいっても同級生や知り合いに会うし、噂はすぐ広まる。

女性が着飾っていない見られたくない場面で「おっ、アズミハルコ」と必ず声をかけられてしまう世間の狭さには、見ているだけで息苦しさを感じてしまいました。

会社でも、モラハラパワハラ、セクハラとにかく女性はこき使われた挙句、陰口を叩かれるをのを目にします。

いつかは、自分がその立場になるのかと辟易している様子でしたよね。

幼馴染に対するささやかな恋すら叶わない。

男にすがりつくシーンはなかなか、胸が痛かったです。蒼井優ちゃんファンとしては、あの男許すまじ。まじで。

相手が欲しがる肉体関係を先に差し出しているのにも関わらず、ささやかな思いやりすら受け取れないという虚しさ。嫌ってほど伝わってきました。

この田舎の閉塞感よって、アズミハルコは行方不明になるわけですね。「ひょっとしたら、自殺か?」とも思わせる一連の展開でした。

しかし、そこから愛奈との夢のなかの邂逅で「自分が幸せになることが一番の復讐だ」と語ります。

行方不明になったその後が、絶望の淵に落ちていったわけではないことが明らかになったわけです。

「殺されてる」「監禁されてる」いろんな噂が劇中で語られて、最後の最後まで嫌な予感しかなかったです。

しかし!

実際は、オープンカーで海に向かっているところでした。冒頭に出てきた野球選手と離婚したという幼馴染との約束ですね。

この演出にカタルシスを感じられるかが、この映画を高く評価できるかどうかの分かれ道なんじゃないかと思います。やっぱ、カタルシス=オープンカーですからね。笑

といっても、いささかターゲットが狭すぎるのは間違いないかなというのは正直なところです。確実に共感できるのは、田舎の女性しかいないような…。

ただ、アズミハルコになったつもりでこの映画を見れていれば、十分絶望の淵からの生還劇にカタルシスを感じられるんじゃないでしょうか?

私は、蒼井優ちゃんが好きなので、余裕でした。笑

映画『ファイトクラブ』『ショーシャンクの空に』との類似性

この項目は映画好きな人には怒られそうですが、名作映画『ファイトクラブ』そして、『ショーシャンクの空に』と近い部分があると思いました。

ただ、時間がないのでもう一回映画を見に行った後に色々確認してから、追記していきます。

いつか追記!

まとめ

いや〜、これは映画だからこそできるなかなか意欲的な作品ですね。

エンタメ路線で楽しませるって感じでもないし、アートっぽく突っ切る訳でもない。

時系列もバラバラで余白も多い。

見てる側は、本気で向き合わないと余裕で置いていかれてしまう映画です。

私は、原作を未読なので近いうちに絶対チェックしたいと思います。

レビューなんかを見ていると原作では、もっと地方の息苦しさや閉塞感に「そうなんだよ!」「分かる!」と言いたくなる作品になっているそうです。

一方男性はというと猛省しなくちゃいけない感じでやや女性向け小説といった感じのようです。

試し読みもできる作品なので、まだ分からないところがあるという人は、一緒にチェックしてみましょう!